写真家の篠山紀信さん死去 83歳 ヘアヌードで一大ブームが死去

ヌードから歌舞伎まで、巧みな演出と構成で被写体をスタイリッシュに撮り続けた写真家、篠山紀信(しのやま・きしん、本名・紀信=みちのぶ)さんが4日、死去した。83歳。

東京生まれ。日本大芸術学部写真学科在学中に、広告制作専門会社「ライトパブリシティ」に入社、広告写真家として活躍する。1968年、俳優の江波杏子さんや黒柳徹子さんらのセミヌードが掲載された「篠山紀信と28人のおんなたち」を発表、一躍、注目を集めた。女性の体から芸術的な美しさを引き出す術にたけ、「激写・135人の女ともだち」(79年)では、毎日芸術賞を受賞。元歌手の山口百恵さんや俳優の原田美枝子さんらも撮影している。

91年には、「water fruit」で俳優の樋口可南子さん、「Santa Fe」で宮沢りえさんのヌード写真をそれぞれ撮影。自身は「ヘアヌード」という言葉を嫌ったが、女性の下半身の毛が映り込んだ写真は一大ブームを巻き起こした。

篠山さんは、作家の三島由紀夫さんや、歌手のジョン・レノンさんとその妻のオノ・ヨーコさんのキスシーンなど、著名人のポートレートの撮影でも知られ、歌舞伎俳優の坂東玉三郎さんや中村勘三郎さんの舞台も長年追い続けた。また、複数のカメラをつなげて撮影する「シノラマ」という技法を使い、東京やニューヨークなどの新たな都市景観を提示する試みにも取り組んだ。

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