陶芸家・今井政之さん死去 面象嵌の第一人者 文化勲章受章者が死去

陶芸における「面象嵌(ぞうがん)」技法の第一人者として独自の作風を打ち立てた文化勲章受章者で日本芸術院会員の陶芸家、今井政之(いまい・まさゆき)さんが6日、老衰のため亡くなった。92歳。通夜は8日午後6時、葬儀は9日午後0時半、京都市南区西九条池ノ内町60の公益社南ブライトホール。葬儀委員長は宮田亮平・日展理事長。喪主は長男で陶芸家の眞正(まきまさ)さん。

大阪市生まれ。少年期に広島県に疎開し県立竹原工業学校(現竹原高)を卒業。岡山・備前焼の地で陶芸修業を始め、後に京都の重鎮、楠部弥弌(やいち)に師事した。京都に居を構えて日展を中心に活躍を始めた。

初期は独自に開発した緑色の釉薬(ゆうやく)を生かした作品で評価を高めた。その後、うつわ本体とは異なる色土をはめ込んで文様をつくる象嵌技法に取り組み始めた。後に大きな文様で絵画的な効果をもたらす「面象嵌」へと展開。技術的にきわめて難しい中、魚や鳥、植物をおおらかに表現した。

広島県竹原市に登り窯を構え、陶芸の伝統継承を意識する一方、最晩年まで新機軸の作品や大作を発表し続けた。

1995年毎日芸術賞。2003年日本芸術院会員。18年文化勲章。毎日新聞大阪社会事業団の理事を長年務めるなど社会貢献活動にも熱心だった。

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