葬儀を営む際に、まずバタバタとするのが、どこでどの様な葬儀を営むかと言う事です。病院等で家族が亡くなると、病院からせかされる感じを受けながら、どの葬儀会館で営むのかを決める必要が生じるからです。
父が亡くなった時、こうした経験をしたので、年老いた母に万が一の事があった場合に、その轍を踏まぬようしなければと考えていました。
そんな時に、実家の近くに全国展開の葬儀会館が新たに出来た時に内覧会に出かけ、会館が立派な事もあり、積み立て会員に加入しました。
積み立て会員になれば、同じ格の葬儀なら、非会員に比べて20%程度安くなりますし、何より万が一の時に迷うことなく段取りを進める事が出来ると思ったからです。
それから2年ほどして母が他界しました。父の時と違って、すぐにその葬儀会館に連絡し、遺体を病院から搬出し、葬儀会館の安置所に移し、ゆっくりと通夜葬儀の段取りや関係者に連絡する事が出来ました。
積み立て会員になる際に、モデルセットでのセット料金例が提示されていますが、実際に葬儀を営む際には葬儀社の係員と、それぞれ4ランク程度用意されている祭壇や棺等の品々を改めて決めて、すぐに見積もりを出してもらい、決定する段取りで準備が進みます。
積み立て会員に加入する際には、セット価格例から25名程度の通夜・葬儀の料理を含めて120万円程度のイメージを持っていましたが、実際に祭壇や棺を改めて決めて見積もってもらうと150万円程度になりました。
これは葬儀社が会員に加入する時に嘘をついていた訳ではありません。パンフレットのセット価格例は、祭壇や棺等が最低ランクに近いものを集めて算出されたもので、各ランクの品々をじっくりと選定すると、どうしてもそれよりもランクアップした品々を選んでしまうからです。
見栄を張る訳ではありませんが、日本人なら4ランクの価格水準から選定するとなると、最高・最低をカットした中間の2ランクから選ぶ傾向があり、やはりそうしてしまうからの結果でした。
ある意味、これは葬儀社が料金を安く感じさせて加入を促進するためのテクニックなのでしょう。
しかし、結局最低ランクに近い品々ではなく、中間水準のものを選定し、またセット料金には含まれていなかった式場入り口の飾りつけ等をオプションとして追加した事で予想していた費用よりも30万円もアップしてしまったのです。これにお寺さんへのお布施などをプラスすると、総額で175万円が掛かりました。
もちろん、通夜・葬儀は満足できる形で営む事が出来、その点では何の不満もありませんでした。
しかし、この体験から積み立て会員に加入する際に、セット例の料金のみではなく、実際に祭壇や棺等の品々のカタログから自分で選定し、事前に見積もりしてもらっておくべきだったと反省したものです。
事前に見積もりしてもらっても、安くなる訳ではありません。それでも費用イメージを正しく把握して、その費用を覚悟できていれば、だまされた感なしにすっきりと葬儀を営めただろうと思います。