明治から令和まで五つの時代を生き、「存命中の世界最高齢」としてギネス世界記録に認定された福岡市東区の田中カ子(たなか・かね)さんが19日、老衰のため119歳で死去した。25日に福岡県などが発表した。通夜、葬儀は近親者で営む。喪主は次男の妻禮子(れいこ)さん。
日露戦争開戦の前年となる1903(明治36)年1月2日、福岡県和白村(現・福岡市東区)で生まれた。19歳で結婚。太平洋戦争中は夫や長男が出征する中、一人でうどん店を切り盛りし、戦後は夫と米穀店を長く営んだ。夫が亡くなった2005年から東区の高齢者施設で暮らしていた。
116歳だった19年3月、ギネスワールドレコーズ社から男女を通じ「存命中の世界最高齢」と認定された。117歳261日を迎えた20年9月19日、厚生労働省が確認できる記録としては鹿児島県喜界町の田島ナビさん(18年に117歳260日で死去)を抜き、国内の最長寿記録を更新した。
炭酸飲料やチョコレートが好物。晩年まで好物のコーラを口にするなど元気な日々を過ごした。ひ孫で、2年前から田中さんの近況などをツイッターで発信してきた田中純子さん(25)は「3月末に会った時は呼びかけにも応じ、手を握る力も強かった。誰からも愛され、いつも輪の中心にいる人だった。(田中さんの)元気な姿を伝えることでいろんな人に元気を届けたいと思ったが、私たちも元気づけられた」と悼んだ。
県によると、田中さんの死去に伴い、大阪府柏原市の巽(たつみ)フサさん(115)が新たに国内最高齢者となった。