横田滋さん死去 87歳 北朝鮮拉致被害者・めぐみさんの父 家族会元代表が死去

北朝鮮に拉致された横田めぐみさん(行方不明時13歳)の父親で、拉致被害者救出運動の先頭に立ってきた横田滋(よこた・しげる)さんが5日午後2時57分、老衰のため死去した。87歳。2018年春から体調を崩し入院生活を送っていた。葬儀などは近親者のみで営むという。

滋さんの長女めぐみさんは1977年11月15日、当時通っていた新潟市内の中学校からバドミントン部の練習を終えて同市内の自宅に帰る途中に行方不明になった。96年から97年にかけ、日本側に寄せられた脱北者の話などから、めぐみさんが北朝鮮に拉致された可能性が浮上した。

北朝鮮は02年、めぐみさんの拉致を認め、すでに自殺したと日本政府に説明。まためぐみさんは北朝鮮国内で結婚し、めぐみさんの娘が北朝鮮国内で暮らしていることも明らかにした。

北朝鮮は04年、めぐみさんが死亡した証拠として「遺骨」を日本政府に提供。政府はDNA鑑定により、遺骨は別人のものと断定した。政府はめぐみさんが死亡したとする北朝鮮の説明について「矛盾が多く信ぴょう性が疑われる」としている。

滋さんは、妻早紀江さん(84)や他の拉致被害者家族とともに、97年に「拉致被害者家族連絡会」を設立。会の代表となり、国会議員や官庁に対して真相究明や救出を訴える陳情を重ねた。拉致被害への関心を高めようと署名活動や講演会を各地で行い、国民に協力を呼びかけた。北朝鮮が「死亡」と発表した後も、めぐみさんの生存を信じ、拉致の犯罪性を批判し続けた。

14年3月、モンゴルを訪れ、日朝両政府の合意のもと、めぐみさんの長女キム・ウンギョンさん(32)、生後間もないウンギョンさんの娘らと面会した。帰国後の記者会見で、「まだまだあきらめるのは早い」とめぐみさん救出への決意を語っていた。だが18年4月に体調を崩し、入院生活が続いていた。

政府が認定する未帰国の拉致被害者12人の親で、存命なのは早紀江さんと有本恵子さんの父明弘さん(91)の2人となった。【堀智行】

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