「Wの悲劇」「早春物語」などで知られる映画監督の澤井信一郎(さわい・しんいちろう、本名・信治=しんじ)さんが3日、多臓器不全のため死去した。83歳。葬儀は近親者のみで営む。喪主は妻郷子(きょうこ)さん。
東京外国語大卒業後、東映に入社。マキノ雅弘、小沢茂弘両監督らの助監督を20年務め、1981年、松田聖子さんが映画初主演した「野菊の墓」で監督デビュー。その後も薬師丸ひろ子さん主演の「Wの悲劇」(84年)、原田知世さん主演の「早春物語」(85年)、後藤久美子さん主演の「ラブ・ストーリーを君に」(88年)などアイドル映画を手がけ、若手女優への丹念な指導でみずみずしい演技を引き出した。
「福沢諭吉」(91年)、「わが愛の譜 滝廉太郎物語」(93年)といった伝記映画や、ベストセラーを映画化した「日本一短い『母』への手紙」(95年)などで叙情性豊かな人間ドラマを描くなど、演出手腕が高く評価された。2007年にはモンゴル・日本合作の「蒼き狼 地果て海尽きるまで」を手がけた。