詩人・作家の森崎和江さん死去 95歳 「からゆきさん」が死去

性とは、命とはの自問から「からゆきさん」など数多くの著作を生んだ詩人・作家の森崎和江(もりさき・かずえ)さんが15日、呼吸不全のため死去した。95歳。葬儀は家族葬で営んだ。

1927年、日本統治下の朝鮮で生まれ、福岡女子専門学校(現・県立福岡女子大)進学のため17歳で帰国。50年に福岡県久留米市の詩人、丸山豊(1915~89年)を訪ね、詩誌「母音」同人となった。

結婚、出産、弟の自死などを経験後、58年に福岡県・筑豊の炭鉱地帯に移り、上野英信、谷川雁らと「サークル村」を組織し、同名の文芸誌を創刊。翌年から女性交流誌「無名通信」の発行を始めた。

谷川らが炭鉱で労働組合を組織していた61年、仲間の若い女性が性的暴行を受け、殺される事件が発生した。この事件で心身のバランスを崩し、「無名通信」を廃刊した。

以後、ひとりで育児しながら、心に傷を負った人たちの一夜宿として自宅を開放し、性や命、民族についての根源的な問いに基づく聞き書きや評論、エッセー、小説を発表した。

一時中断していた詩作を96年から再開。2005年には詩集「ささ笛ひとつ」で丸山豊記念現代詩賞を受けた。他の主な著書に「まっくら」「奈落の神々」「第三の性」「慶州は母の呼び声」。詩集に「さわやかな欠如」「地球の祈り」など。選集に「森崎和江コレクション 精神史の旅」(全5巻)がある。

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