元裁判官の井垣康弘さん死去 82歳 神戸連続児童殺傷事件を担当が死去

1997年に神戸市須磨区で起きた連続児童殺傷事件で、当時14歳だった加害男性の少年審判を担当した、元神戸家裁裁判官で弁護士の井垣康弘(いがき・やすひろ)さんが2月26日、急性虚血性心疾患のため死去した。82歳。葬儀は近親者で済ませた。喪主は長男憲一郎(けんいちろう)さん。

97年に神戸家裁に着任し、小学生5人が殺傷された事件の審判を担当。加害男性を医療少年院送致とし、決定要旨を報道機関に公表する異例の対応に踏み切った。

2005年の定年退官後は弁護士として活動。15年には、加害男性に関する決定の全文を出版社などに提供。大阪弁護士会から業務停止3カ月の懲戒処分を受けた。全文には詳細な成育歴も含まれ、少年審判のあり方を巡って波紋を広げた。

喉頭がんの手術で声帯を失ったが、人工声帯で少年問題について積極的に発言を続けた。晩年まで加害男性の更生を気にかけ、「被害者を思いながら、一生かけて償ってほしい」と話していた。

お悔やみメッセージを投稿してみませんか

お悔やみの言葉を残す