テレビ人形劇「新八犬伝」などで知られる人形作家の辻村寿三郎(つじむら・じゅさぶろう)さんが5日、心不全のため死去した。89歳。葬儀は近親者で営んだ。喪主は二代目辻村寿三郎(本名・川崎員奥=かわさき・かずお)さん。
旧満州(現中国東北部)生まれ。22歳で前進座の河原崎国太郎を頼って上京し、小道具制作の会社に就職。その後、人形制作を本格的に始めた。
「辻村ジュサブロー」の名でNHKのテレビ人形劇「新八犬伝」「真田十勇士」の人形美術を担当、一躍脚光を浴びた。活動は人形制作にとどまらず、1976~77年、毎日新聞に連載された瀬戸内寂聴(当時・晴美)さんの小説「まどう」では挿絵も描いた。蜷川幸雄演出の舞台作品のアートディレクターを務めたり、宝塚歌劇団公演の衣装デザインを担当したりした。
2000年にジュサブローの名を本名の寿三郎に改め、13年には青春時代を過ごした広島県三次市に人形館が完成した。