両親の葬儀を体験して伝えたい事

私は10年余り前に父親を、そして5年ほど前に母の葬儀を営みました。両親の葬儀を営んだ経験から、高齢の両親の居られる方々に参考にお伝えしたい事を記載したいと思います。
まず、父は90歳で老衰で入院しました。母が一人で父親の面倒を見ていて、救急車で病院に運び込まれて初めてそんなに急速に衰えていた事を知り、私達子供は何の心の準備も、ましてや葬儀の事など考えてもいませんでした。
1か月ほどして父は亡くなりましたが、入院してからは母や子供達が交代で病室に詰めていましたが、とてもそんな中で葬儀をどうするのかと言った相談は不謹慎に思えて話し合う事は出来ませんでした。
そして父が亡くなって初めて、どこでどんな葬儀を営むかを話し合ったのですが、中々決められませんでした。病院からはいつご遺体を迎えに来てもらえますかと、暗に催促され、結局病院と実家の中間地点にある最寄りの葬儀会館に決めました。
そして一般的な葬儀を葬儀社が祭壇や棺等の品々について、このレベルが標準ですよと言われるままに段取りを決め、お寺さんへのお布施は除いて、300万円程度掛かってしまいました。

この体験から、高齢の親がいる場合には、家族葬にするのか、一般の葬儀にするのか、また親族やご近所や会社関係等、どこまで連絡して、どの程度の規模の葬儀とするのかのイメージ合せを子供達や家族で親が元気な間に相談しておくことが大切だと思いました。
そうする事で、万が一の事が起きた時に、バタバタする必要もなく、そのイメージの葬儀に合う会館を持つ葬儀社に連絡すれば良く、費用も納得できる葬儀に近づけられると思います。

こうした反省から、母が米寿を迎えた頃に、私達兄弟で話し合い、母に万が一の時には、一般葬でごく親しい親族と、ご近所の方を中心にした小規模な葬儀にしようと話し合いました。
父親が亡くなった時には、私達はまだ現役で、勤務していた会社関係の弔問者も多く、結局先に記載した様な盛大な葬儀となったのですが、すでに皆リタイアしている事もあり、そうしたイメージ合せが出来たのです。
そして、実家の近くに新しい葬儀会館が出来た時に、私の名義でそこの葬儀社の積み立て会員になり、万が一の時に慌てないでも済む様にしておきました。

そして母が93歳で他界し、積み立て会員となっていた葬儀社の会館で葬儀を営みました。
規模はイメージ合せをした通りとしました。しかし実際にはイメージしていた葬儀費用よりもオーバーしてしまったのです。
積み立て会員になる際のパンフレットでは、一式の費用例が提示されており、参列者の規模から費用は120万円程度と考えていました。
しかし実際に、祭壇や棺を決める時には、パンフレットにあったものより、1ランク程度上のものにしたため、実際には50万円程度オーバーしてしまったのです。
これは、ある意味では葬儀社の積み立て会員募集で低目のランクの祭壇や棺をベースに一式費用が記載され、費用を安く見せかけていた事に、乗せられたとも言えるものでした。
それでも父親が亡くなって10年近く後の事で、父親の葬儀の費用よりは安く抑える事が出来、またバタバタせずに済んだ事は良かったと思っています。
ただし、ここでも反省は、自分達がイメージした葬儀をパンフレット等から勝手に思い込むのではなく、実際の時と同様に、祭壇や棺を選定し、それで事前見積もりを取る事が大切だと思いました。
そうする事で、費用についても事前に正しいイメージを持つ事ができ、そんなはずではなかったのにと後悔する事もないと言えると思います。