金川千尋さん死去 96歳 信越化学工業会長が死去

信越化学工業は5日、金川千尋会長が1日に死去したと発表した。96歳。葬儀は近親者で営んだ。後日、しのぶ会を開く。

1926年、日本統治下の朝鮮・大邱(テグ)に生まれた。50年に東大法学部を卒業して極東物産(現三井物産)に入社。62年に信越化学工業に入社した。その後、海外事業本部(現国際事業本部)で欧州、中南米の海外事業を次々と開拓したのち、建材や配管などに幅広く使われる塩化ビニール樹脂の米国での生産を強化。「社会と環境に貢献する優れた樹脂で、需要は伸び続ける」との信念のもと、現地子会社社長にも就くなど、グローバル展開を強化して同社を世界一の塩ビメーカーに育て上げた。

90年からは社長、2010年からは会長を務め、経営の一線に立ち続けていた。半導体の基盤に使われるシリコンウエハーの分野でも世界のトップシェアとなるなどし、世界的な存在感を強めてきた。

企業統治の面でも、経営における監督の重要性にいち早く着目。01年には外資系の経営トップを社外取締役に招き、透明性の高い経営を意識した。

こうした優れた経営手腕が評価され、93年には毎日経済人賞を受賞、18年には新設された毎日経済人賞栄誉賞も受賞した。栄誉賞受賞時に金川さんは「栄誉賞は望外の喜びで、更なる高みを目指したい」と語っていた。【竹地広憲】

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