興福寺、平城宮跡…修復に貢献 「生き字引」鈴木嘉吉さん悼むが死去

古代建築の調査や修復に多大な貢献をした元奈良国立文化財研究所長の鈴木嘉吉さんが16日、93歳で亡くなった。奈良県内の関係者からも鈴木さんの死を惜しむ声が上がった。

鈴木さんは日本建築史が専門で、1986~94年まで奈良国立文化財研究所(現・奈良文化財研究所)の所長を務めた。唐招提寺金堂や薬師寺東塔の解体修理で専門委員会の委員長に就くなど、県内寺院の修復の多くに携わった。

興福寺の境内整備にも尽力し、2018年10月の中金堂落慶法要の際は「思っていた通りのものができた。ここから天平文化が花開く」と晴れやかな表情を見せた。多川俊映・寺務老院は「鈴木先生は駆け出しの研究者の頃、興福寺で下宿していたこともあった」と語り、嫌みのない人柄と記憶力の良さが印象に残っているという。逝去の知らせに「余人をもって代えがたい人を失った」と惜しんだ。

平城宮跡の復元事業などで指導を受けた奈良文化財研究所の箱崎和久・都城発掘調査部長は「親分肌で、若い人にも気さくに接していた。生き字引のような存在で、よく先生に教示を求めていた」と振り返った。【塩路佳子】

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