社会学者で、「現代日本の精神構造」「気流の鳴る音」などの著作で知られる東京大学名誉教授の見田宗介(みた・むねすけ)さんが1日、敗血症で亡くなった。84歳。葬儀は近親者で営んだ。
1937年、東京都生まれ。東京大文学部社会学科を卒業。同大学院を満期退学後、同大学教養学部で助教授などを経て82年に教授。退官後の98~2008年には共立女子大教授を務めた。
文学や歴史学にも興味があったが、一つのテーマや時代に絞ることに抵抗を感じ、大学で社会学を選んだ。精緻な論理構想と独特の感性で、現代社会の有りようと現代人の心性、現代社会論、比較社会学などを追究した。文学や統計、歴史学と民俗学などの手法も活用した学際的研究も持ち味で、「見田社会学」と呼ばれた。晩年は経済成長が終わり、新たな局面に入った資本主義の未来や思想を考察した。
「現代社会の理論」「宮沢賢治――存在の祭りの中へ」「時間の比較社会学」など、多くの著作がベストセラーやロングセラーとなった。真木悠介(まき・ゆうすけ)の筆名で「人間解放の理論のために」「現代社会の存立構造」なども発表した。「定本 見田宗介著作集」で12年、毎日出版文化賞(企画部門)を受賞。17年、瑞宝中綬章。