「フジ三太郎」「スカタンCO.(カンパニー)」など、平凡なサラリーマンを描いた作品で知られる漫画家のサトウサンペイ(本名・佐藤幸一=さとう・ゆきかず)さんが7月31日、誤嚥(ごえん)性肺炎のため東京都立川市の病院で死去した。91歳。葬儀は近親者で営んだ。喪主は妻みどりさん。
名古屋市生まれ、大阪市育ち。京都工業専門学校(現京都工芸繊維大)卒業後、大丸大阪店宣伝課に勤務。入社試験時に提出した履歴書を紛失されたため代わりに漫画で描き直したことなどがきっかけで、1951年、新大阪新聞で連載漫画「大阪の息子」がスタートしてデビュー。57年、漫画家として独立。61年、先輩漫画家、横山隆一の勧めで上京する。
62年から「アサカゼ君」(週刊漫画サンデー)を連載して人気が出る。65年、朝日新聞で「フジ三太郎」の連載が始まり、売れっ子の仲間入り。同作は91年まで続いた。他に「スカタンCO.」(サンデー毎日)「夕日くん」(週刊朝日)など。「平凡パンチ」の表紙も手がけた。
「ユーモア、ウイット、風刺が漫画の3要素」と言い、スマートな絵柄と確かな視点でサラリーマンの日常を描いた。「フジ三太郎」で女性上司を登場させるなど、時代の変遷にも目配りした。生真面目で気骨の人。地価、住宅、道路行政など社会問題への怒りや政治への注文を漫画に反映させ、東京都交通問題懇談会の委員として道路問題について熱弁をふるったこともあった。
62歳で「フジ三太郎」の連載を終えてからは、自動車免許取得、パソコン技能習得などに挑戦。漫画入りの入門書「パソコンの『パ』の字から」はベストセラーになった。ブログの日記は2013年まで約5年間つづっていた。
66年文芸春秋漫画賞。97年紫綬褒章。06年旭日小綬章。17年日本漫画家協会賞特別賞。