骨力あふれる線を自在に駆使した漢字かな交じり書き作品などで知られる毎日書道会常任顧問、書家の大井錦亭(おおい・きんてい、本名・大井武司=おおい・たけし)さんが21日、敗血症性ショックのため死去した。93歳だった。通夜、葬儀は近親者のみで営む。お別れの会を後日開く。喪主は長女宮園敦子(みやぞの・あつこ)さん。
秋田市生まれ。北海道に転居後、渡辺緑邦に師事。1953年に上京し、金子鷗亭(おうてい)に師事した。三省堂に入社し、鷗亭と共に活字のデザインに取り組んだ。68年に退社し書に専念した。
個展を活発に開き、鷗亭が推奨した漢字かな交じり文の普及に尽力したほか、日中両国で書展を開いて書の発展に貢献した。また、俳句や囲碁にも造詣が深く、句集「站」「山巓」「歙州硯」などがある。碁仲間を率いて毎年のように訪中し、中国の書人らと交流を深めた。
97年に毎日書道顕彰、99年に第51回毎日書道展文部大臣賞、2001年に日展会員賞、02年に毎日芸術賞。毎日書道会常任顧問、創玄書道会名誉会長、日本詩文書作家協会常任顧問などを歴任した。