映画の力信じたロマンチスト 人間愛と反戦への思い 大林宣彦監督死去が死去

「花も実もある絵空事」。大林宣彦さんは自身の映画づくりを好んでこう表現した。小さなウソを積み重ねて、大きな真実を伝えるのが映画だと。一つ一つの場面は多くの人々が力を合わせて一から作り上げた虚構だ。しかし誠心誠意ついたウソは、全てが集積したときに揺るぎない真実を表す。

物心つく前から映画と身近に接した。初めて映画を作ったのは、6歳の時に35ミリフィルムに手描きしたアニメーションだったという。前衛芸術活動が盛んだった1960年代、高林陽一さん、飯村隆彦さんらと結成した創作集団「フィルム・アンデパンダン」は映像の最先端を切り開き、今でも実験映画の先駆として語り継がれる。CMディレクターとして斬新な発想と手法で注目を浴び、手がけた作品は1000本を超えた。

助監督を経て監督になるのが当たり前だった70年代、映画監督デビュー作となった「HOUSE/ハウス」は、企画を持ち歩き自ら売り込んだ。実験映画的な映像手法を駆使したロマンチックなホラー映画は、熱狂的なファンを生む。80年代には薬師丸ひろ子さんや原田知世さんら、生まれたてのアイドルから魅力を引き出し、最大限に輝かせ…

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