川村兼一さんが死去、69歳 アイヌ民族の私設資料館館長が死去

100年以上の歴史を持つアイヌ民族の私設資料館「川村カ子(ネ)トアイヌ記念館」(北海道旭川市)の館長で、旭川アイヌ協議会長の川村兼一さんが9日、旭川市内の病院で亡くなった。69歳。通夜は11日午後6時、葬儀は12日午前10時、同市川端町5の10の2の11、ベルコ川端シティホール。自宅は同市北門町11。喪主は妻久恵(ひさえ)さん。

記念館は1916年、アイヌ文化を正しく理解してもらうため、川村さんの祖父、イタキシロマさんが自宅近くに「アイヌ文化博物館」を開設したのが始まり。差別と闘いながら鉄道の測量技師として各地で活躍した父、カ子トさんが引き継ぎ、65年に現在の記念館が建てられた。父の死後、川村さんは館長に就任し、普及啓発活動や伝統儀式・祭礼の伝承指導、講演などを通し、アイヌ文化の伝承・保存に尽力した。

2009年度にアイヌ文化の保存や伝統、発展に寄与した個人や団体に贈られるアイヌ文化奨励賞を受賞した。アイヌ民族の遺骨返還にも取り組み、17年、北海道大を相手取り、同大が保管する遺骨の返還などを求める訴訟を旭川地裁に起こした。翌年に和解が成立し、遺骨3体の返還を受けた。【横田信行】

お悔やみメッセージを投稿してみませんか

お悔やみの言葉を残す