示唆に富んだだまし絵のような絵本で親しまれ、叙情的な風景画、古典文学の絵画化にも取り組んだ画家で文化功労者の安野光雅(あんの・みつまさ)さんが昨年12月24日、肝硬変のため死去した。94歳。葬儀は近親者で営んだ。
島根県津和野町生まれ。13歳まで同地で過ごし、豊かな自然と教師に恵まれて画家を志す。第二次大戦で召集され船舶兵となるが、4カ月後に終戦。戦後は小学校代用教員などを経て、1950年に上京した。東京でも小学校の図工教員を務める傍ら、絵画の個展も開催。また実験的な授業が美術教育界で話題となり、教科書編集やテレビ出演の仕事も増…