女性として初めて米国務長官を務めたマドレーン・オルブライト氏が23日、がんのため死去した。84歳だった。家族が公表した。クリントン政権(民主党)で国連大使や国務長官を歴任し、人道危機への対処のためには軍事介入を辞さない強気な外交姿勢で知られた。
オルブライト氏は1937年にチェコスロバキア(当時)の首都プラハのユダヤ系家庭に生まれた。翌38年のナチス・ドイツの侵攻直前に外交官の父と共に英国に逃れた。戦後にチェコスロバキアで共産党政権が樹立されると、48年に一家で米国に移住した。
政治学や公法を学び、78~81年にカーター政権で国家安全保障会議(NSC)のスタッフを務めた。82年から米ジョージタウン大学で国際関係や外交を教えた。河野太郎元外相も教え子。93年に発足したクリントン政権で国連大使に抜てき、ボスニア・ヘルツェゴビナのセルビア人勢力への空爆や米国との関係が悪化していたガリ国連事務総長(当時)の再選阻止に動いた。