ツツ元大主教死去 90歳 アパルトヘイト撤廃訴え、ノーベル賞が死去

南アフリカで非暴力によるアパルトヘイト(人種隔離)撤廃を訴え、ノーベル平和賞を受賞したデズモンド・ツツ元大主教が26日、死去した。90歳だった。前立腺がんを患い、入退院を繰り返していた。

旧トランスバール州クラークスドープ生まれ。大学卒業後、高校教師になったが、人種差別的な教育が導入されたことをきっかけに聖職者の道へ進んだ。1960年に英国国教会司祭となり、78年に南ア教会評議会事務局長に黒人として初めて就任した。86~96年にケープタウン大主教。

故マンデラ元大統領が獄中生活を送る中、アパルトヘイト撤廃運動の精神的指導者となり、84年にノーベル平和賞を受賞した。96~98年にはアパルトヘイト下の人権侵害を解明し、人種間の融和を図るために設置された「真実委員会」の委員長を務めた。

黒人解放闘争を率いた「アフリカ民族会議」(ANC)が政権の座についた後、アパルトヘイト政策で生じた人種間の経済格差に加えて黒人の間でも貧富の差が拡大したことを批判した。2003年に始まったイラク戦争では、戦争を主導したブッシュ(子)元米大統領やブレア元英首相に謝罪を要求。17年にはミャンマーの少数派イスラム教徒「ロヒンギャ」に対する迫害問題について、ノーベル平和賞受賞者のアウンサンスーチー氏の対応を批判する公開書簡を発表するなど、国内外の政治状況について積極的に発言した。13年に死去したマンデラ氏への延命措置に反発し、安楽死への支持を表明していた。

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