ムツゴロウの愛称で親しまれ、テレビの動物番組などで活躍していた小説家でエッセイストの畑正憲(はた・まさのり)さんが5日、北海道中標津町の病院で亡くなった。87歳だった。
福岡市生まれ。東京大大学院(動物生理学専攻)修了後、学研映画局に入社し、20本近い記録映画を手がけた。1968年に「われら動物みな兄弟」で第16回日本エッセイスト・クラブ賞を受賞。
71年に北海道浜中町沖に浮かぶ無人島・嶮暮帰(けんぼっき)島に家族で移り住み、ヒグマ、犬、馬などと共に暮らし、72年に対岸の浜中町に「動物王国」を開設した。
動物が増えて手狭になったため、79年に牧場部門を約60キロ離れた中標津町に移設。「ムツ牧場」とした。
80年からフジテレビ系列で「ムツゴロウとゆかいな仲間たち」の放映が始まり、長寿番組として人気を集めた。映画「子猫物語」(86年)の監督としても知られる。
2004年には、東京都あきる野市に「東京ムツゴロウ動物王国」を開園したが集客が伸びず、2年後に運営会社「グローカル21」が破綻、さらに1年後に閉園した。
77年に第25回菊池寛賞受賞。著作は「ムツゴロウの博物志」など300冊近い。プロ級の雀士(ジャンし)としても知られる。