コピーライター吉田寛さん死去 麦焼酎「なしか!」 大分弁で作品が死去

味のある大分弁で数々のキャッチコピーを生み出したコピーライターの吉田寛(よしだ・かん)さんが19日、大分市内の自宅で亡くなった。63歳。葬儀は親族のみで営む。

八鹿酒造(九重町)の麦焼酎「なしか!」などの大分弁を使ったコピー作品を多数残した。OBS大分放送でラジオパーソナリティーとしても活躍した。

毎日新聞大分版では2012年4月から「寛流 大分弁俳句」の選者を務め、週1回の連載は20日の紙面で469回を数えていた。

吉田さんの突然の訃報に関係者から悼む声が相次いだ。

「信じられない」。そう語るのは、吉田さんが名付け親の麦焼酎「なしか!」を販売する「八鹿酒造」(九重町)の麻生益直社長(64)。吉田さんとの付き合いは、なしか!発売前の26、27年に及ぶ。その関連で始まり、吉田さんがパーソナリティーを務めるOBSのラジオ番組「夕方なしか!」は人気長寿番組になった。

「なぜ?」という意のなしか!を「世の中の“なしか”を問う焼酎にしよう」と誓い合っていた。吉田さんの急逝に「寛ちゃんは裏切り者だよ」と悼んだ。

「なしか」は、親しい人に対して「なんちゅう人かね」と軽くあきれるような意も含む。そんな掛け合いをラジオCMで繰り広げていたのは、九州自然動物公園「アフリカンサファリ」(宇佐市)の神田岳委(いわい)園長(51)だ。吉田さんとラジオ番組に出演し、共にタイやアフリカに旅行したこともある。

臼杵市出身の吉田さんとは同郷で、番組では県南の言葉になることも。それを吉田さんが県北の人にも分かるよう言い換えていた。

「気遣いの人。酒と新しいもの、広島カープが好きでね。スタジオに行けばまた会えるような気がして信じられません」と振り返った。【津島史人、石井尚】

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