「キャプテン・トム」のトム・ムーアさん、コロナで死去 100歳 歩いて支援47億円が死去

新型コロナウイルス対応に尽力する病院や医療従事者を支援するため、庭を歩くチャレンジに取り組んで約3300万ポンド(約47億円)の寄付を集め、「国民的英雄」となった英国の退役軍人男性、トム・ムーアさんが2日、新型コロナ感染症のため英南部の病院で亡くなった。100歳だった。英メディアが伝えた。

英メディアによると、ムーアさんは1月半ば、肺炎のため病院に入院したが、その際に受けた検査では、新型コロナは陰性で、体力が回復したため、22日に退院した。しかし、同日中に新型コロナで陽性と判定され、自宅療養を経て、31日から再入院していた。英国では新型コロナのワクチン接種が始まっており、高齢者は最優先で接種できるが、ムーアさんは肺炎治療との兼ね合いで未接種だったという。

死去が報じられると、英国の政治家や著名人らが哀悼メッセージをSNSに相次いで投稿。ジョンソン首相は動画メッセージで「キャプテン・トムは本当の意味で英雄だった。第二次世界大戦の暗黒の時代に自由を求めて戦い、この国で最も深刻な戦後の危機に直面すると、彼はみんなを団結させ、元気づけ、人間の精神の勝利を体現した」と悼んだ。

ムーアさんは英国が初のロックダウン(都市封鎖)中の昨年4月、医療分野への寄付を呼びかけるために、歩行器を使いながら幅25メートルの自宅の庭を100往復すると宣言。目標は1000ポンドだったが、そのひたむきな姿をメディアが取り上げると寄付が増え、約150万人から集まった。人気が高まり、ムーアさんが英国人歌手とカバーした曲が全英チャート1位を獲得し、最高齢記録を更新した。7月にはエリザベス女王からナイトの爵位を与えられ、9月には自伝を発売していた。【ロンドン横山三加子】

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