陶芸家・加藤孝造さん死去 人間国宝 「瀬戸黒」の制作続けが死去

安土桃山時代に隆盛した「茶の湯」で戦国武将や茶人に愛された茶陶器「瀬戸黒」の制作を続け人間国宝に認定された陶芸家、加藤孝造(かとう・こうぞう)さんが17日、急性心不全のため死去した。88歳。葬儀は近親者で営んだ。お別れの会を後日開く予定。喪主は長男英人(ひでと)さん。

岐阜県瑞浪市出身で同県多治見市在住。県立多治見工高を卒業後、県陶磁器試験場(現・県セラミックス研究所)に入り、試験場長で県重要無形文化財保持者の陶芸家、五代目加藤幸兵衛氏から指導を受けた。1970年代から同県可児市久々利の山中に陶房を構え、穴窯と登り窯を築いて独立した。

「志野」と「瀬戸黒」の技法で人間国宝だった荒川豊蔵氏に師事した。手回しのろくろで作品を制作する、桃山時代からの古典技法を追究。伝統技法を若い世代に継承するため、99年に「風塾」を主宰して後進の育成にも尽力した。

2010年に「瀬戸黒」の技法で人間国宝に認定。12年に旭日小綬章を受章。居住地の多治見市、出生地の瑞浪市、工房を構えた可児市の3市で名誉市民に選ばれた。

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