半世紀以上にわたり政治評論を行い、「戦後日本政治史の生き字引」とも言われた森田実(もりた・みのる)さんが7日、死去した。90歳。
1932年静岡県生まれ。旧制中学1年の時に敗戦を迎えた。長兄が戦死し、母が悲しむ姿を見たことから強い反戦意識を持った。占領軍への反発もあり、東京大工学部在学中に学生運動に参加。52年、共産党に入党した。全日本学生自治会総連合(全学連)の幹部として、米軍砂川基地(現・東京都立川市)拡張に反対した「砂川闘争」で学生を指揮した。破壊活動防止法反対闘争や原水爆禁止運動などにも関わった。
58年に共産党を除名され、共産主義者同盟(ブント)を結成。60年安保後は、日本評論社出版部長、同社「経済セミナー」編集長を経て73年、フリーの政治評論家に転じた。「平和を守ることこそが政治家の仕事」が信条だった。日本政府の米国追随姿勢も厳しく批判。最晩年まで評論を続けていた。