近代史家・渡辺京二さん死去 92歳 石牟礼道子さんの編集者が死去

作家の石牟礼道子さん(1927~2018年)を編集者として支え、自身も近世から近代を主題にした「逝きし世の面影」などを著した日本近代史家、渡辺京二(わたなべ・きょうじ)さんが25日、老衰のため死去した。92歳。葬儀は27日午後1時、熊本市東区健軍4の17の45の真宗寺。喪主は長女山田梨佐(やまだ・りさ)さん。

65~66年に地方文化雑誌「熊本風土記」を12冊出版。そこで連載した石牟礼さんの「海と空のあいだに」は戦後日本文学の金字塔「苦海浄土」の原形となった。以降、編集者として石牟礼さんの元に通い原稿の清書や資料整理、炊事を担当。交友は半世紀を超えた。石牟礼さんと共に水俣病患者を支援する「水俣病を告発する会」の発足にも関わった。14年には熊本市で「石牟礼道子資料保存会」を結成し石牟礼文学の顕彰に力を注いだ。

日本近代史家としては「北一輝」(毎日出版文化賞)「評伝宮崎滔天(とうてん)」などを発表。和辻哲郎文化賞を受賞した「逝きし世の面影」では幕末・明治初期の外国人の証言を積み重ね、近代化で滅びる前の日本を描き出した。桃源郷のような日本の姿は共感を呼び10万部を超えるベストセラーに。続編の「黒船前夜」では大佛(おさらぎ)次郎賞を受けた。30代以降、谷川雁(がん)や橋川文三、吉本隆明らと親交を重ねた。

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