乗用車にはねられて重傷を負っていた「ザ・ドリフターズ」のメンバー、仲本工事(なかもと・こうじ、本名・仲本興喜=なかもと・こうき)さんが19日夜、急性硬膜下血腫のため死去した。81歳。所属事務所が同日、発表した。神奈川県警によると、仲本さんは18日午前9時10分ごろ、横浜市西区の交差点を歩いて横断中に乗用車にはねられた。頭を強く打って病院に搬送され、治療を受けていた。
仲本さんは東京都出身。学習院大卒。学生時代にジェリー藤尾さんが率いるバンドに加わり、1965年にドリフターズに加入。翌年に英国のバンド「ビートルズ」が日本武道館で開いた公演の前座で、ドリフターズの一員としてステージに立った。69年にはテレビ番組「8時だョ!全員集合」(TBS系)がスタート。メンバーの志村けんさんとジャンケンをして負けたら罰を受ける「ジャンケン決闘」が人気を得た。「ドリフ大爆笑」(フジテレビ系)では、いかりや長介さんとの「ばか兄弟」や、空の上にいる「雷様」にふんしてコントを披露した。
90年代以降は俳優としての活動が増え、2時間のサスペンスドラマや「水戸黄門」「総理と呼ばないで」「テセウスの船」などに出演。音楽では、ドリフターズの高木ブーさん、加藤茶さんと3人で組んだ「こぶ茶バンド」の一員としてステージを踏んだ。
中学、東京都立青山高校で体操を続け、ランニングシャツ姿でコントを披露したことも。2015年には東京・目黒に居酒屋をオープンさせ、再々婚した妻の純歌さんと店に立った。80代に入っても、テレビ出演のほかにユーチューブやツイッターで投稿を続けるなど、精力的に活動していた。
ドリフターズの後輩である志村さんは20年、新型コロナウイルスに感染し70歳で死去。翌年にあったテレビ番組関連の取材会で、記者らの前で「(志村さんは)日本の財産だった」と話し、「なんで先に逝っちゃったんだよ、見ていた人もそうだけど、加トちゃん(加藤さん)が一番悲しんでいるぞ」としのんでいた。