「ドカベン」「あぶさん」などの野球漫画で知られる水島新司さんが10日、肺炎のため82歳で死去した。「あぶさん」にも登場したプロ野球・元ダイエー(現ソフトバンク)などのカズ山本(本名・山本和範)さん(64)=北九州市在住=は「漫画に出たことで、とても励みになった」と振り返った。
カズ山本さんは1977年にドラフト5位で近鉄に入団。83年に南海(現ソフトバンク)に移籍し強打者として活躍し、96年から再び近鉄でプレーした。
その活躍は「あぶさん」でも度々描かれた。水島さんが選手たちだけではなくロッカールームの様子なども丹念に取材し、正確に描写していたことが印象に残っているという。「99%が本当のことだった。当時はパソコンもない時代。大変な作業だったと思う」と振り返る。
漫画に登場したことで応援してくれるファンも増えたといい、「さらに頑張らないといけない」とモチベーションにつながった。選手時代は一緒に食事をする機会も度々あり、「漫画を描くための苦労話などもたくさん聞かせてもらった。本当にお世話になった」と懐かしみ、「心よりご冥福をお祈りします」と別れを惜しんだ。【黒澤敬太郎】