韓国・聯合ニュースによると、「T・K生」のペンネームで、1970~80年代の韓国軍事政権の民主化運動弾圧の実情を日本の月刊誌に連載し、告発した池明観(チ・ミョングァン)東京女子大元教授が1日、京畿道の病院で死去した。97歳だった。93年に帰国後は金大中(キム・デジュン)政権の対日政策ブレーンとして日韓文化交流の発展に寄与した。
24年に平安北道(ピョンアンプクド)=現在の北朝鮮=で生まれ、ソウル大大学院で宗教哲学を専攻した。70年代に韓国の月刊誌「思想界」の主幹を務めた後、民主化運動への弾圧を逃れて72年に来日。東京女子大教授として教壇にたちながら約20年間、亡命生活を送った。
岩波書店の月刊誌「世界」に73年から88年まで、「T・K生」の名前で「韓国からの通信」を15年間連載。海外に韓国の民主化運動を知らせる役割を果たした。当時、「T・K生」はだれか明らかにされなかったが、2003年に池氏が筆者であると名乗り出た。
韓国帰国後は、両国の文化交流促進を目指す韓日文化交流会議の委員長や、日韓共同歴史研究の韓国側座長を務め、日韓対話や相互理解のための民間レベルの基盤づくりに尽力した。【ソウル坂口裕彦】