当代を代表する古典落語の名手で、人間国宝の柳家小三治(やなぎや・こさんじ、本名・郡山剛蔵=こおりやま・たけぞう)さんが7日、心不全のため死去した。81歳。所属の落語協会が10日発表した。葬儀は本人の遺志で密葬を営んだ。喪主は長男郡山尋嗣(こおりやま・ひろつぐ)さん。
東京都生まれ。都立青山高校在学中に落語研究会に入部。ラジオ東京の「しろうと寄席」で15週連続勝ち抜き。父は小学校校長、母は武家の娘という厳格な両親の反対を押し切り1959年、五代目柳家小さんさんに入門。前座名「小たけ」を名乗った。
正統派古典落語の担い手として、若いころから実力は群を抜いていた。芸に厳しかった六代目三遊亭円生さんが落語協会会長在任中の69年、17人抜きで真打ちに昇進。同時に柳家の出世名前である十代目小三治を襲名した。柳家の家の芸である「粗忽(そこつ)長屋」「百川」「千早ふる」など滑稽噺(こっけいばなし)を得意とし、ユーモラスな中にシニカルさを交えた独特の視線で人間の営みを生き生きと描き出した。また「芝浜」「…