素粒子物理学の分野で、クォークに関する「小林・益川理論」で2008年のノーベル物理学賞を受賞した京都大名誉教授、名古屋大特別教授の益川敏英(ますかわ・としひで)さんが23日、上顎(じょうがく)歯肉がんのため死去した。81歳。葬儀は家族のみで営んだ。「お別れの会」などの開催は未定。
名古屋市出身、名大理学部卒。名大助手、京大理学部助手、東京大原子核研究所助教授を経て、1980年、京大基礎物理学研究所教授に就任、所長も務めた。03年から京都産業大(京都市)教授を務め、在任中にノーベル賞を受賞した。
名大では中間子論を発展させた故坂田昌一博士の下で、素粒子論を研究。京大助手時代の73年、後にノーベル賞を共同受賞する高エネルギー加速器研究機構の小林誠・特別栄誉教授とともに、原子を構成する基本的な粒子のクォークが6種類あるという「6元模型」を共同発表した。当時、すでに3種類のクォークが発見されていたが、第4、第5のクォークに続いて94年、第6の「トップクォーク」が確認され、「小林・益川理論」は、…