沖縄戦、差別など見つめた脚本家・上原さんの遺志を次代へ 同郷の仲間が絵本作りが死去

特撮ヒーロードラマ「帰ってきたウルトラマン」などの脚本を手がけたシナリオライター、上原正三さんが、今年1月に82歳で亡くなった。上原さんは那覇市生まれで、手がけた作品に戦争や差別など地元の現実を投影してきた。「沖縄から次代を担う創作者を育てたい」。晩年、周囲にそう語っていた上原さんの遺志を生かそうと、親交のあった同郷の仲間が沖縄の若者の作品を使った絵本作りに動き出している。

絵本作りを進めるのは、上原さんと同じ那覇市出身で熊本市在住の普久原朝輝(あさてる)さん(87)ら。普久原さんは戦時中、母や妹らと熊本県八代市に疎開した。警察官だった父は地元に残り沖縄戦に巻き込まれて亡くなった。一家の大黒柱を失った上に灰じんに帰した故郷に戻るわけにもいかず、戦後はそのまま熊本で生活した。

八代市の高校を卒業後、熊本市の自動車販売会社に就職し、役員にまで昇進した。子供たちが独立し、妻と静かな余生を過ごしていた2018年の夏、偶然手にした新聞に上原さんの名前を見つけた。郷土の著名人が戦時中に八代市内の別の寺に疎開し、通った国民学校も同じだったと知り、無性に会いたくなった。

無理を承知で…

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